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2022年12月号の答え

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■■マドプロ出願■■(塚田喜彦)
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A社は、日本で商標「B」(指定商品:第25類「被服」)を出願した後、これを基礎として外国でも出願をしたいこと考えマドプロ出願することを検討している。 以下マドプロ出願に関する記述のうち正しいものはどれか。
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1.マドプロ出願は、全世界どの国においても利用できる便利な出願方法である。
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2.A社が、商標「B」の出願後、中国と米国を指定してマドプロ出願をした。その後日本において「B」は最終的に拒絶となり登録できなかった。この場合、当該マドプロ出願はそのことのみを理由として中国及び米国においても拒絶となり登録できない。
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3.A社は、外国において商標「B」ではなく「B」と類似する商標「B’」を使用することに決めた。この場合A社は、日本で出願した商標「B」を基礎としつつ、商標「B‘」でマドプロ出願をすることができる。
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4.A社は、外国において商標「B」を「被服」だけでなく、「靴」にも使用することとした。この場合A社は、日本で出願した商標「B」を基礎としつつ、指定商品「靴」を指定してマドプロ出願をすることができる。
- 【答え】 2
マドプロ出願は、日本の商標登録出願又は商標登録を基礎として、外国へ出願できる便利な制度です。一方で、当制度を利用するにあたり以下の制約を受けます。
①日本の商標登録出願又は商標登録(基礎出願・基礎登録)と完全同一の商標であること。
②日本の商標登録出願又は商標登録(基礎出願・基礎登録)で指定されている商品・役務の範囲内であること
③基礎出願又は基礎登録の名義人(出願人・権利者)がマドプロ出願の出願人名義と同じであること。
④マドリッド協定議定書加盟国へしか出願できないこと。(簡単にいうと、うちもマドプロ出願制度を導入するので仲間に入れてくださーい!と宣言し加入が認められた国でしか出願できまません。)
主な非加盟国は、台湾、香港、マカオ、ミャンマー(北朝鮮はなんと加盟国です!)またマドプロ出願の最大のデメリットは、マドプロ出願後、基礎出願・基礎登録が拒絶・消滅すると拒絶・消滅した商品・役務の範囲内で、マドプロ出願も拒絶・消滅となる点にあります。これをセントラルアタックといいます。よって特に日本の出願を基礎としてマドプロ出願する場合は注意が必要です。
上記内容を把握した上で各選択肢について解説しますと、以下の通りとなります。
1.日本の商標登録出願又は商標登録(基礎出願・基礎登録)と完全同一の商標であること。
【解説】
台湾、香港、マカオ、ミャンマーはマドプロ出願できないため誤り。2.A社が、商標「B」の出願後、中国と米国を指定してマドプロ出願をした。その後日本において「B」は最終的に拒絶となり登録できなかった。この場合、当該マドプロ出願はそのことのみを理由として中国及び米国においても拒絶となり登録できない。
【解説】
セントラルアタックの具体例に該当しますので、正しいです。3.A社は、外国において商標「B」ではなく「B」と類似する商標「B’」を使用することに決めた。この場合A社は、日本で出願した商標「B」を基礎としつつ、商標「B‘」でマドプロ出願をすることができる。
【解説】
マドプロ出願の対象も「B」とする必要がありますので、誤りです。4.A社は、外国において商標「B」を「被服」だけでなく、「靴」にも使用することとした。この場合A社は、日本で出願した商標「B」を基礎としつつ、指定商品「靴」を指定してマドプロ出願をすることができる。
【解説】
マドプロ出願の対象も「被服」又はその範囲内で行う必要がありますが、「靴」はその範囲外ですので、誤りです。
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