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■■今月のクイズ■■(古野裕介)

先日、今何かと話題の「いきなり!ステーキ」に行ってきました。同店では、「肉マイレージサービス」という、食べた肉の量(グラム数)をマイルに見立て、食べた肉の量の累積値が一定以上となると、様々な特典をもらえるサービスが行われており、魅力的に感じました。さて、日本にはビジネスモデル特許と呼ばれるものが存在し、特定のタイプの発明に付与される特許は、ビジネスモデル特許にカテゴライズされます。

しかしながら、ある発明(便宜的に、主観的に新しいと考えて見いだされた何らかの構造物やサービスを「発明」といいます)がビジネスモデル特許として特許され得るのかどうかというのは分かりにくい部分があり、弊所に寄せられる質問にも「そもそもビジネスモデル特許って何?」といったものが少なからずあります。
そこで、今回は、上述の肉マイレージサービスを使って、ビジネスモデル特許に関する問題を出そうと思います。当クイズを通して、少しでも ビジネスモデル特許について理解が進めば幸いです。

  1. ■■【問題】■■
    以下の問題について(1)~(4)のうち、正しいものを答えよ。
  2. (発明A)お客様が購入した肉の量を、お客様毎に管理しておき、各お客様について、肉の量の累積値が一定以上となったときに、そのお客様に特典を付与するようにした会社としての取り組み。
    (発明B)お客様が肉を購入したときに、そのお客様の識別情報を取得し、識別情報と対応付けて肉の量の累積値を管理する機能K1と、お客様毎に、肉の量の累積値が一定以上となったか否かを判定し、一定以上となったお客様に特典を付与する機能K2とを有するコンピュータ。


    以上の発明A、発明(B)について

    (1)発明A、発明(B)は共に、ビジネスモデル特許の対象となる。

    (2)発明Aはビジネスモデル特許の対象となるが、発明(B)はビジネスモデル特許の対象とならない。

    (3)発明Aはビジネスモデル特許の対象とならないが、発明(B)はビジネスモデル特許の対象となる。

    (4)発明A、発明(B)は共に、ビジネスモデル特許の対象とならない。


    ※ただし、実際に特許されるかどうかは無視し、特許庁に出願したときに、特許法上の発明として認定された上で、特許を付与すべきか否かの審査の対象となるかどうか、という観点でお応え下さい。

  3. ■■【回答】■■
  4. (発明A)お客様が購入した肉の量を、お客様毎に管理しておき、各お客様について、肉の量の累積値が一定以上となったときに、そのお客様に特典を付与するようにした会社としての取り組み。

    (発明B)お客様が肉を購入したときに、そのお客様の識別情報を取得し、識別情報と対応付けて肉の量の累積値を管理する機能K1と、お客様毎に、肉の量の累積値が一定以上となったか否かを判定し、一定以上となったお客様に特典を付与する機能K2とを有するコンピュータ。


    以上の発明A、発明(B)について

    (1)発明A、発明Bは共に、ビジネスモデル特許の対象となる。

    (2)発明Aはビジネスモデル特許の対象となるが、発明Bはビジネス モデル特許の対象とならない。

    (3)発明Aはビジネスモデル特許の対象とならないが、発明Bはビジ ネスモデル特許の対象となる。

    (4)発明A、発明Bは共に、ビジネスモデル特許の対象とならない。

  5. 以下、発明Aおよび発明Bがビジネスモデル特許の対象となるか否かに ついて解説します。

    (発明A)は、いわゆるビジネスモデルではありますが、ビジネスモデル特許(というよりは、特許全般)の対象とはなりません。なぜなら、人間が決めたルールや、取り決めそのものは、特許の対象とはされず、従って、人間が決めたルール、取り決めに他ならない純粋なビジネスモデルは、特許の対象とならないからです。
    ビジネスモデル特許であるためには、そのビジネスモデルに従って情報処理装置(単体のコンピュータだけでなく、プログラム等のソフトウェアと、CPU等のハードウェアとが協働して処理を行う主体の総称とお考え下さい。従いまして、サーバや、スマートフォン、情報処理システムの一部が「情報処理装置」に含まれます)が主体となって処理を行う仕組みである必要があります。

  6. (発明B)は、ビジネスモデル特許の対象となります。列挙された機能は、情報処理装置の1つであるコンピュータが主体となって、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されるものであり、上述した通り、このようなケースはビジネスモデル特許の対象となります。


  7. 従いまして、答えは(3)です。
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